あなたの街で探す!見つける!【あっと現場】で社員・バイトのお仕事探し|現場のコツ 第五回『鳶職の服装はなぜダボダボのニッカポッカを履くの?』

鳶職人といえば、独特のダボダボとしたシルエットのズボンを思い浮かべる人も多いことでしょう。そもそもなぜ鳶職人はニッカポッカと呼ばれるあのズボンをはいているのでしょう? ここではニッカポッカの謎について解説します。

ニッカポッカの歴史

ニッカポッカは、鳶服の中でも特徴的なシルエットで知られるダボダボのズボンのことです。実はニッカーボッカーズというのが正式名称で、その起源はオランダの子供用のズボンだったといわれています。オランダからアメリカへ渡った移民が着用していて広まり、現在でも英語でニッカボッカーズ(Knickerbocker)といえばオランダ人移民のことを指します。

ニッカーボッカーズは、長さがひざ下までで裾がくくられているため裾が邪魔にならず、野球やゴルフ、乗馬などのスポーツウェアとして用いられました。日本でも各スポーツ用に着用され、また軍服としても採用されていました。その後、いつ頃からかは明らかではありませんが、工事現場の作業着としても動きやすいということで使用されて定着したようです。また、それとは別にもともと江戸時代の鳶職人がはいていた股引、あるいは忍者や行者がはいていた、膨らみがあって裾を絞った着物が原型ではないかという説もあります。いずれにしろ現在では現場作業者の中でもとくに鳶職人がこのニッカポッカ、もしくはニッカポッカに似た鳶用のズボンを「鳶服」として愛用しています。

鳶職人がニッカポッカをはく理由

ではなぜ鳶職人はニッカポッカをはくのでしょう? かっこいいから、というのも理由の一つですが、ほかにもニッカポッカは鳶職にとって欠かせない機能を持っています。

足運びの邪魔にならない
高いところで足を高く上げたり膝を曲げたりして作業することが多い鳶職では、足がズボンに引っ掛かってスムーズに動かないことがあるのは致命的です。ニッカポッカは十分な余裕があるために足を動かしやすく、これがこのズボンをはく最も大きな理由です。

危険を回避するためのセンサー
鉄骨の上などを歩くとき、足元に出っ張りなどの障害物があるとダボダボ部分が先に触れて危険を察知できるというのもよくいわれる理由の一つです。いわばあのダボダボが猫のヒゲのようなセンサー的役割を担っているわけです。

高所でのバランサー
高いところを歩くときにバランスを取るのにも、ダボダボ部分が役に立ちます。ムササビの皮膜にも似ているようにも見えませんか。慣れると逆に、ダボダボのないズボンで高所に上がるのは怖いと感じるようになるようです。

風の強さを測る目安
あのダボダボは風の影響を受けるのではとも思ってしまうかもしれませんが、それは正しい推測です。実際に高所で作業をする鳶職人にとって風は大敵です。そのため逆に、ダボダボが風でなびき始めると危険を察知して作業を休むようにしたり、地上にいる作業員も遠くから高所の風の強さを確認できたりするといった利点があります。

鳶服の「超超ロング」って何?

ニッカポッカはほかにニッカ、トビ、七分、八分といった名前でも呼ばれています。中でも七分は七分丈のことで、一時期流行りました。それが少し長くなって八分丈になって八分とも呼ばれるようになったのです。

そしてその後も、ニッカポッカは丈の長いものが主流になっていきます。ロング八分、超ロング、スーパーロング、超超ロング、超超超ロング、四超ロングと長いものが作られるようになりました。鳶服の世界にも流行がありますが、現在の主流は「超超ロング」のようです。この長さがちょうど見栄えもよく、さらに実際の作業もしやすいというのが理由でしょう。なお、ダボダボ部分については太いほどいいという考えもあれば、いくぶんスリムなほうが今っぽいという考えもあります。また、メーカーによっても名称やデザインは異なります。どのメーカーのどんなデザインの鳶服を着用するか、あるいはオーダーメイドするかは、鳶職人によって好みやこだわりがあります。

いずれにしろ、鳶職人がはいているあのズボンには歴史と機能性、そして誇りとステイタス性があります。ぜひ自分だけの一着を見つけて、かっこよくはきこなしてください。