大工仕事に欠かせない工具の一つであるハンマー。皆さんご存知の通り、ものを叩いたり打ったりするときに用いる道具ですが、大工職人は加工対象物や用途に応じてさまざまな種類のハンマーを使い分けている…ということまでは、知らない人も多いはず。
今回は、大工職人が使うハンマーについて、その種類や使い方を詳しく解説していきます。
ハンマーとは「つち」という意味の英語で、ものを叩いたり打ったりするときに使う大工職人の必需品です。主なハンマーには「金槌」、「とんかち」、「玄能(げんのう)」などがありますが、それぞれの違いはどこでしょうか。下記にまとめてみました。
金槌
金槌は釘を叩くための道具で、一般的には、釘を打つ部分である先端の形が一方は平たく反対側は尖っている「片口」タイプのものを指します。
水中に入れると即座に沈むため、泳げない人を表す「かなづち」の語源にもなっています。また、叩いたときの音が語源となって、「とんかち」と呼ばれることもあるようです。
玄能(げんのう)
鑿(のみ)を叩くための道具を指します。金槌の先端が片口なのに対し、玄能の先端は両方とも平たい形をした「両口」です。
では、下記で正しいハンマーの使い方を見ていきましょう。
1. まずは、釘を打ちたい部分に錐(きり)で下穴をあけましょう。釘がまっすぐに打ち込みやすくなるだけでなく、釘を打ったときに木材が割れにくくなります。
2. 錐で開けた下穴に釘を当てて、釘がまっすぐに自立するぐらいに軽く金槌の平面で打ちます。ここで注意したいのが、いきなり強く打ち込まないこと。また、両方とも平たくなっている「両口」タイプの場合、よく見ると片側は平面で、反対側は凸面になっているはず。金槌を打ち込むときは、平面を使って打ち込みましょう。
3. 金槌の柄を軽く握る程度に持ち、手首のスナップを利用して釘を打ち込んでいきます。
4. 釘がほとんど入ったら、最後の仕上げとして金槌の凸面を使って打ち込んでいきます。こうすることで、木材に金槌の跡が付くのを防げます。
ハンマーは、前半で紹介したもの以外にもいくつかの種類があります。
仮枠ハンマー
仮枠作業(※)に使われる鎚で、釘抜きもできます。釘頭をしっかりと打てるように、打撃面に滑り止めの筋が加工されたものは東日本で、加工のないものは西日本で主に使われています。
※仮枠作業:建物を作る際、コンクリートを流し込むために行う枠作りのこと。
ネイルハンマー
西洋から入ってきたハンマーの一つで、釘打ちと釘抜きの両方に使える日曜大工の必需品です。初心者はもちろん、大工職人まで幅広く使われています。
箱屋槌
釘打ちと釘抜きの両方に使われる槌です。打撃部に筋目が入って滑りにくい「角箱屋槌」と、主に九州で使われていた打撃部に筋目のない「丸箱屋槌」、中部地方で使われている槌の側面が平らで側面打ちができる「名古屋型箱屋槌」があります。
細工槌
細かな作業を行うときに使われる槌です。襖の引き手を留めるときに使われる「唐紙槌」や「刃槌」、板金作業や電気工事に使われる「武力屋槌」などがあります。
関連リンク
現場のコツ コンテンツ一覧
前回までの記事はこちら
第十七回『解体工の仕事内容について』
第十六回『左官工(塗り壁)の仕事内容について』
第十五回『塗装屋(ペンキ屋)の仕事内容について』
第十四回『配管工の仕事内容を知ろう』
第十三回『危険物取扱者はどんな仕事をしている?』