やりたいと思っている仕事があるにも関わらず、自分が苦手とする一部のことでその仕事をあきらめてしまうのはとても残念なことです。
例えば、建設作業に就きたいと考えているのに高所が苦手というのもその一つ。建設作業という仕事そのものに魅力を感じているのであれば、なんとかして克服しておきたいものです。
ここでは、高所に対する恐怖を克服するためのポイントを詳しく説明していきます。
高所恐怖症というのは不安障害の一つで、高いところにあがった際に、そこが安全な場所なのにも関わらず、自分が落下してしまうことに対して極度な不安を感じてしまう心の病気です。
その症状は人によって異なりますが、多くの人が体の震えや激しい動悸などが起こり、ひどい場合には嘔吐や目眩の症状を伴うこともあります。
原因としては、過去の恐怖体験が影響しているケースが多く、実際に高いところから落ちた経験や、高所で恐怖を感じるような経験をしたことで、「高所=危険」という防衛プログラムが脳にインプットされたと考えられています。
どちらかというと、物事を深く真剣に考え込んでしまうタイプに発症しやすいと言われており、必要以上の想像力が働くことで高所に対する恐怖が増強されてしまうケースが多いようです。
高所恐怖症は症状が悪化すると、歩道橋を渡れない、ガラス張りのエレベーターに乗れない、大きな窓のあるオフィスにいられないなど、日常生活に大きな支障をきたすことも珍しくありません。
恐怖を感じる高さも人によってさまざまで、脚立や椅子の上など決して「高所」と言えない高さであっても動悸や目眩といった強い症状が表れるケースも見られます。
その一方で、ただ単に「高いところが苦手」という人は「高所恐怖癖」と呼ばれていて、高所恐怖症とは明確に区別されています。
吊り橋の上や観覧車のような高い場所で足がすくんでしまったり、ドキドキしたりといった恐怖を感じることは、人間の本能として正常な反応だとされていて、その反応が日常生活に支障のない程度であれば、それは高所恐怖症ではなく高所恐怖癖である可能性が高いのです。
高所恐怖癖を克服するために大切なことは、まずは高いところは恐くないということを脳に認識させることです。
実際に高いところへ上がってみて我慢するというのも方法の一つですが、人によっては強い恐怖症状によってパニックを起こしてしまうこともあるので、無理は禁物。
最初からいきなり何十メートルもの高さへ上がるのではなく、ある程度冷静さを保てる高さから始めてみましょう。このとき、より安心感を得るためにも、自分以外の誰かに付き添ってもらうことをおすすめします。
また、過去の恐怖体験が原因で高所恐怖症になってしまった場合には、心理カウンセラーや精神科医の力を借りて、そのトラウマを克服する必要があるでしょう。
では、実際に高所恐怖症を抱えている人は建設作業員にはなれないのでしょうか。答えはノーです。
通常、建設現場では安全に対して厳しい基準が設けてあり、作業環境の安全はしっかりと確保されています。
足場がしっかり組まれていて、安全帯を装着するなどの対策が万全になされていれば、よほどのことがない限り転落するということはありません。
・足場がしっかりと整備されているか
・足元が乱雑に散らかっていないか
・手すりなど、とっさにつかまるところがあるか
上記を事前にしっかりと確認しておくことで、高所に対する恐怖を和らげることも可能です。また、滑りにくい靴を履いて、動きやすい格好を心がけるなど、自分でできる安全対策を施したうえで、仕事に取り組むようにしてみましょう。
ほとんどの場合は、仕事を続けることで次第に慣れて行き、高所恐怖癖を克服できると考えられています。
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