建築現場において不可欠な工程である「墨出し」。
建築家が作成した図面を、実際の現場に原寸サイズで書いていく作業のことで、ミリ単位のズレも許されないという、建築現場において最も重要かつ精密さが求められる作業の一つです。
今回は、この墨出しの仕事について、詳しく説明していきます。
墨出しというのは、住宅などの建築図面に書かれたありとあらゆる寸法を、実際の建築現場に原寸で引いていく作業のことをいいます。
その仕事はまだ工事に着手する前の更地に、建物を立てる基準となる点を示すことから始まり、基礎となるコンクリート上に内部の寸法を書き出す作業、階段の位置やサッシの出入り口、電気コンセントの位置を書き出す作業など、建物が竣工するまで実にさまざまです。
一般的な墨出しは二人一組のペアになって行うことが多く、一人が基準線の位置を確認しながら、もう一人が実際に印をつけるという作業を行っていきます。
墨出し工が書き出した線を頼りに、基礎職人や大工職人、電気工などがその後の作業を行うため、決して失敗の許されない重要な仕事です。
墨出しで一般的に用いられる道具は、以下になります。
レーザー墨出し器
複数のレーザー光を当てて、水平や直角などの隅を出していきます。
一人で作業することが可能なため、ここ数年の建築現場でよく用いられる方法のひとつです。
墨壷
コンクリートの上に直線を引いたり、建物の位置を出したりするための道具です。
墨の付着した糸をコンクリートや木材などの上に張り、弾いて印をつけていきます。
レーザーレベル
水平や垂直、高さを確認するための道具で、墨出し工の必需品のひとつです。
一人での施工が可能。
オートレベル
レーザーレベルと同じく水平や垂直、高さを確認するための機械。高い精度を求める場合には、一人よりも二人での作業が望ましいとされています。
墨出し工になるために必要な資格や学歴、年齢などの条件は特にありませんが、仕事をしていく上で、三角関数などの数学的知識が必要となってくるため、高校卒業程度の数学は勉強しておく必要があります。
また、墨出し工として働くためには、建築会社や測量会社に就職する方法が一般的です。
墨出しの技術を習得するためには、なんといっても場数を多く踏むことが大切。
最初のうちは先輩について現場を回りながら、測量機器の使い方など墨出し工として必要な知識を学んでいくところが多いため、仕事を始める時点で墨出し工に関する専門的な知識がなくても問題はないでしょう。
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