自然素材を使った在来工法の家の良さが見直され始めたこともあり、近年その需要がますます高くなっている大工職人。
木造建築やリフォームのプロフェッショナルである彼らは、実は作る建物やその工法などによって、種類が分けられていることをご存知でしょうか。
ここでは、日本の建築現場を支える大工職人の種類と、その歴史について詳しく説明していきます。
大工の歴史は、さかのぼること今からおよそ1400年前、飛鳥時代が起源だとされています。
もともとは、法隆寺を建立したことで知られる聖徳太子によって組織された建築技術者の階級を示していて、都造りのための建築で「木」に関わる職を「右官」、「土」に関わる職を「左官」と呼んでいました。
その後、奈良時代から鎌倉時代までは寺社や朝廷の建築物を専門に扱う職人として位置づけられていましたが、室町時代になると大工職人の仕事が細かく分けられるようになり、宮大工、桧物師、建具職などの職種が造られました。
大工職人が寺社や朝廷の建築物だけでなく城下町の建設を行うようになったきっかけは、安土桃山時代、いわゆる戦国の時代に入ったことがきっかけだとされています。
そして、江戸時代頃には、全ての建築に関わる職人たちを大工と呼ぶようになり、その統率者を棟梁と呼ぶようになりました。
宮大工
主に神社や仏閣の建築や修繕を行う職人を指します。木組みと呼ばれる日本の伝統的な工法によって建築・修繕を行うため、大工の中でも専門的な知識と卓越した技術が求められる仕事です。
国の重要文化財の解体や補修に携わることも多く、経験を積んだベテランの宮大工の中には年収1000万円以上を超える人も珍しくありません。
家屋大工
在来工法を用いた一般的な木造住宅の建築を行う職人のことで、木材や建材の加工はもちろん、上棟から最終までの木工事を行います。
最近は各工程を下請け業者に依頼することも多く、それぞれの業者を束ねるのも家屋大工の仕事です。
造作大工
主にRC構造の住宅やマンションにおける壁、床、天井、窓枠、巾木などを造る大工のことを指します。
建設会社の下請けとして契約をして、短い工期で新たな現場を次々に回って仕事をするケースが多く、家屋大工と兼務している人も。
型枠大工
コンクリートを流し込むための型枠を造る職人のことで、鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリートといった大型建造物の骨組みを造る大切な役割を担っています。
建築現場だけでなく、橋などの建設、トンネル工事、新幹線の製造など、コンクリートを使う工事の全てが管轄となっています。
肉体労働の代表格とも言える大工の仕事ですが、材料を効率よく使うために計算をしたり、図面を読んだりと、実はなかなか頭を使う仕事でもあります。そのため、大工職人には体と頭をバランスよく使うことができる必要があるのです。
また、建築士が作成した図面が実際の現場でうまく当てはまらなかったときなどに、代わりのアイデアを出すことができる頭の柔らかさや提案力も求められます。
「職人=黙々と一人で作業をする」というイメージを持つ人も多いですが、建築現場では建築士や下請け業者と意思の疎通がしっかりと取れていることが不可欠ですので、高いコミュニケーションスキルも求められます。
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第二十二回『塗装のシンナーの役割や種類について知ろう』
第二十一回『塗装方法の種類について学ぼう』
第二十回『建設作業員のための高所恐怖癖を治す方法』
第十九回『職人さんが持っている腰袋の中身(腰道具)は?』