大工職人にとって、道具は命とも言える大切なものです。大きな木材を運んで組み立てたり、細かな部分を加工したりと、建築の現場で大工職人は実に多くの仕事をこなす必要がありますから、道具選びは作業効率を左右する重要なポイントです。
そこで今回は、大工職人に不可欠な道具の種類と、大工職人ならではの服装にまつわる秘密について詳しく説明していきます。
大工職人にとって必要な道具は、どんな現場で仕事をするかによって異なるので、その現場で働く先輩の大工職人に、どのような道具が必要かどうかを聞いて揃えるといいでしょう。一般的な必需品は次の通りです。
腰袋
大工道具を入れるための袋で、腰に付けて使います。素材はナイロン製のものもありますが、圧倒的に人気だと言われるのは革製の腰袋です。必要な道具が全て収納できるか、収納した道具が出し入れしやすいかなどが選び方のポイントになります。
金槌
釘を叩くための道具です。釘打ちと釘抜きの両方に使うことができる箱屋槌が便利。湿度の高い場所で働く場合は、ステンレス製のものを選ぶといいでしょう。
スケール
長さを測るための巻尺のこと。「コンベックス」とも呼ばれます。
水準器
施工時にないと困ることが多い工具です。大工として経験が浅いうちは、デジタル式がおすすめです。
鉛筆、消しゴム
直接木材に印を付けたりするときに必要です。
そのほか
ハンマーやのこぎり、カッターナイフ(替え刃も)、電卓、墨つぼ、水糸、丸ノコ、三角定規などがあります。
大工職人として経験を積んでいくと、電動工具やエア工具を使った作業を任されるようになってきます。大工道具と同様に、どのような現場で仕事をするかによって必要な工具は異なりますので、まずは先輩の大工職人に確認をすることをおすすめします。必要最低限のものとしては次の通りです。
インパクトドライバー
衝撃を利用してネジを回すドライバーのことで、欠かせない工具の1つ。
釘打ち機
釘を木材に打ち込むために使われる工具のこと。別名「ネイルガン」とも呼ばれています。金槌でも対応できますが、2×4工法(※)の現場では必要になることがあります。
フロアタッカー
フローリングを貼る際に使うエア工具のこと。ビス止めやフロア釘よりも圧倒的に時間が短縮できます。
電動丸鋸
作業の主力となる工具の1つで、モーターの力で部材を直線に切断する工具です。
電気カンナ
電気の力を使って、部材の表面を削ります。小型のものが1つあると何かと便利。替刃式がおすすめです。
※2×4工法:2×4インチの断面の部材がよく使われる工法。
大工職人の服装というと、ダブダブとした大き目のズボンを履いている姿が思い浮かぶかもしれません。これは「ニッカポッカ」と呼ばれています。
一見、動きにくくて高所作業をするには大き目のズボンが邪魔になりそうな感じもしますが、実は、「高いところを上り下りする際に、太もも周りにゆとりがある方が動きやすい」、「かがんで作業をする際に膝が曲げやすい」、「釘などが引っ掛かってしまっても、服だけの損傷で済む」、「高所作業中でも、先にズボンがものに触れることで、地肌に触れる前に足元へ意識を向けることができ、危険が回避できる」、といったさまざまな理由から、何かと事故の危険が多い現場作業においては、最適な服装だと考えられています。
そのほかにも、落下物から頭を守るためのヘルメットはもちろん、腕を守るため長袖の上着、安全靴(足袋)なども必ず用意しておくようにしましょう。
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現場のコツ コンテンツ一覧
前回までの記事はこちら
第二十五回『大工道具の「のみ」ってどんなもの?』
第二十四回『現代の大工さんの種類について』
第二十三回『建築現場の墨出しのお仕事について』
第二十二回『塗装のシンナーの役割や種類について知ろう』
第二十一回『塗装方法の種類について学ぼう』